たぶせ在宅クリニック

和歌山市の訪問診療 たぶせ在宅クリニック

〒640-8264 和歌山市湊桶屋町10 M&MビルA号室
TEL 073-424-0207  FAX 073-424-0300

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在宅医療

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穏やかに死ぬ力を引き出すためには

前回の続きです。
タイトルだけ一見すると穏やかではありませんが、お付き合い下さい。

患者さんも家族さんも皆が望む「最期は穏やかに過ごしたい」と、ヒトに備わっている(かもしれない)「穏やかに死ぬ力」の両方を引き出すためにはどうすればよいのでしょうか?
この問いに対する完全な答えはまだありませんが、現時点で私が感じていることを書きます。

①医療者として最善を尽くしたか?
身体的な症状緩和だけでなく、メンタル面も含めた苦痛緩和を行っているかは絶対的な必要条件です。
これらは薬剤の駆使だけでは実現しません。患者さん/家族さんの性格や人生観、その日の病状に応じた距離感を常に現場で考え、自然体で相手の懐にいかに入って心身両面の苦痛緩和を図ることが重要と考えています。

②「穏やか」を邪魔するモノを極力減らす努力を尽くしたか?
死が間近に迫った時は、通常の常識が逆に「穏やか」を邪魔することがあります。
最も分かりやすい例が点滴です。

死が間近な状態では、もはや水分もほとんど不要となります。
その状態では、無理に点滴をしても内臓では吸収/利用出来ずに、体中にただ溜まるだけです。
しかし、一部のケースで点滴を強く希望されることがあります。
そんな時は、点滴をして欲しい理由を確認した上で、点滴を行うことの弊害を説明します。
説明で納得される方もいますが、それでもなお希望であればやむを得ず施行しますが、行えば行うほど「穏やか」な状態から離れていきます。
点滴を一例に挙げましたが、他にもケースによって様々な事があります。


患者/家族さんも我々在宅スタッフも人間ですから、多種多様な想い、事情、思惑が交錯する中で在宅医療は日々行われています。
「穏やかに死ぬ力」があるかどうかを私が証明する自信はありませんが、答えのない命題を意識しながら今後も自分の役割と向き合っていきます。
 

2022-07-31 22:39:04

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必死に生きる力と穏やかに死ぬ力

暑さとコロナ第7波の真っ最中ですが、私も神﨑先生も変わらず訪問診療をしています。
今回は終末期に関する本質的な話題を書こうと思います。
ちょっと難しいかもしれませんが、どうぞお付き合い下さい。


最近復習を兼ねて、以前読んだ本を読み返していました。
その中に、ヒトには「生きる力」があるだけでなく、「死ぬ力」のあるのではという一節がありました。

医療者なら誰しも経験あることですが、入院中の患者さんにあらゆる治療を行って助からないと判断しても、回復して退院する人がたまにいます。
終末期を担当している私の経験では、訪問診療開始時に余命1か月以内と考えていても、6カ月~9カ月担当するケースが年に3~5人あります。
一体何が良かったのかは分かりませんが、年齢とか体格とかは関係ないです。
私の在宅医療での経験では、患者さん本人に余計なストレスが全くorほとんどない人が多いような気がしていますが、とにかくヒトには「生きる力」が備わっていると考えられます。


さて今日の本題の「死ぬ力」についてです。
「生きる力」と二律背反の「死ぬ力」はヒトに備わっているのでしょうか?
そもそも「死ぬ力」って何でしょうか?

この問いに対する科学的/医学的な答えはまだありません。
ですので以下は全て仮説や経験談です。
ヒトがもう助からない病状で死が直前に迫った時、眠らせる薬を使っていないのに自然に寝たまま(傾眠といいます)となることがよくあります。
死のどれくらい前に傾眠が出るかというと数時間前~数日前です。
傾眠の考えられる医学的理由としては、低血圧、低体温、電解質異常(ナトリウム/カリウム/カルシウムetc)、尿毒症、低血糖、肝性脳症、ナルコーシス(CO2貯留)などがありますが、これらでは説明出来ない傾眠も日常的に経験します。

もしヒトの脳が死が不可避の状態と判断して、最期の苦痛を感じなくさせるために傾眠状態を指示していたら・・・。
傾眠状態の患者さんの表情は皆さん穏やかなので、恐らく苦痛は感じていないと考えられます。
寝ているのにどうしてそれが分かるかというと、傾眠中に看護ケアとして体の向きを変えたり着替えたりする時に、苦痛や痛みを感じると眉間に皺が寄ったり、手で払いのける動作をするからです。そして看護ケアが終わると、元の穏やかな傾眠に戻ります。


もしかしたら、高度な頭脳を持つヒトにはその高度さ故に、「必死に生きる力」と同時に自然に傾眠となる「穏やかに死ぬ力」があるのかもしれませんね。
私達が担当する患者さんと家族さんは百人百通りですが、唯一共通するのが「最期は穏やかに過ごしたい」です。
もしヒトに「穏やかに死ぬ力」があるのなら、それを引き出せるように努めるのも在宅医の役割だと私は考えています。

一体どうしたら「穏やかに死ぬ力」を引き出せるのでしょうか?
長くなったので、続きは次回に。
 

2022-07-24 22:42:00

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クルマの中

夏本番ですが、今年は特に湿気も多く、余計に体力を奪われますよね。
訪問先のお宅は、当たり前ですが様々です。
必ずしも全ての家でエアコンが効いている訳ではありません。

そもそもエアコンがないお宅もありますし、エアコンのスイッチが入っていても暑いお宅もあります。
この時期はそのようなお宅を出る時には汗だくになっていますから、クルマの中で涼まなければいけません。

我々在宅医にとって、聴診器と同じくらいクルマは大切な道具です。
クリニックから歩いて往診する患者さんは滅多にいませんので、ほとんどはクルマで移動します。
シビアな内容の面談をした後、次の患者さんのお宅までの移動中に好きな音楽を聞きながら私の気持ちをリセットします。
訪問先でストレスが溜まった時の気持ちの切り替えするのも、眠たい時にたとえ寝れなくても休憩するのもクルマの中です。

クルマの中でどう時間を使うかは、在宅医にとって大切な事の1つです。
私ができるだけ良い状態で訪問できるように、いつも心掛けています。



急な暑さによる温度変化についていけず、仲良し兄弟は少しだけ体調不良がありました。
徐々に慣れて、今はまた元気になっています。
私は獣医師ではありませんので頼りないですが、一応彼らの在宅医です。

2022-07-11 00:04:51

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尊敬する先生が

短い梅雨が過ぎ去り、すっかり夏ですね。
暑さに適応しつつ、今年もしっかり暑さ対策をして、酷暑を乗り切りたいと思います。


私が尊敬する在宅医の山崎章郎先生が院長職を退かれ、名誉院長になられたというニュースを知りました。
ご存じない方もおられるかもですが、日本の在宅医をリードされてきた著名な先生のお一人です。
私が東京で修行している時に、1週間見学に行かせて頂き、短い期間ですが多くのことを学ばせて頂きました。

まだ訪問診療は継続されると聞いていますが、やはり70歳を超えると24時間対応の在宅医を続けるのはキツいですよね。

山崎先生の集大成のような動画が配信されているので、ご紹介します。

津田塾大学創立120周年記念特別対談「エリザベス・キューブラー・ロス、そして命を語る」 - YouTube


この動画を拝見して、自分のスキル不足を痛感する箇所がありました。
常に「最新の知識や技術」が求められる高度先進医療とは違い、在宅医療は「経験」というのも非常に大事な分野です。
我流になり過ぎないように、先輩Drから多くを学びたいと常に考えています。


我が家の保護猫兄弟は、今日も元気です。
寝る場所は時間によって変わるのですが、何故かこんな狭い籠も好んで寝ています。
もっと広い猫用ベッドがあるんですが、狭い所が落ち着くという猫の習性ですね・・・。


 

2022-06-28 22:55:20

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道を極める

郊外では田植えの季節ですね。

昨年、ある武道で頂点を極めた方の在宅医療を担当させて頂きました。
初回訪問で自宅へ伺うと、部屋中一面に大会でのトロフィーや賞状がずらりと置いてありました。
社会人の全国大会で優勝されたこともあったそうです。

私が担当した時にはもう武道は出来ない状態でしたが、ベッド上に道具を置いていつも触っておられました。
その道具に興味を示すと、嬉しそうに解説してくれ、道具の持ち方を教えて頂きました。
道具は闇雲に使用すれば良いのではなく、いかに力みをなくして瞬間的な動きが出来るように鍛錬を重ねるのが難しいとも話されていました。
全国大会で優勝する程の腕前ですから、試合開始で向かい合った時の、相手の立ち居振る舞い、道具の持ち方、表情や視線の動きで、どのくらい強いかは大抵分かったそうです。

人生の後半は仕事の合間に、受刑者の出所後の更生のお手伝いをボランティアで長くされていたそうです。
あまり詳しくはお話されませんでしたが、恐らく大変なご苦労があったと推察します。
道を極められた方、普通では出来ない役割を担われた方の言葉には、やはり重みと凄みがあります。
私は武道ではなく在宅医という道を歩んでいますが、会話の中で幾つもの学びを頂きありがとうございました。

ベッドから見える外の景色は、田植えが終わった稲の新緑と蛙の大合唱でした。




「古の人は道のために道を歩む。今の人は名利のために歩む。」

ある高僧のお言葉です。
この方を担当させて頂き、この言葉を改めて痛感しました。
私も自分が信じる道をブレずに歩みたいと日々心掛けています。
 

2022-06-07 23:11:15

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大切なお知らせの続報です

ホームページのトップにも載せましたが、クリニックのリフォームを行います。
工事期間は5月20日(金)~6月1日(水)で、この間はFAXが不通となります。
6月2日(木)より通常業務の再開予定です。
新規患者さんの初回訪問も6月2日以降となりますが、新規の依頼は工事期間中でも是非ご相談下さい。


5年間無休で働きましたので、私は少しだけお休みも頂きます。
院長以外のスタッフも全員が交代でお休みを取ります。

振り返ればこの5年間、本当によく働きました。
父のクリニックを継承せずに自分のわがままで新規開業したので、絶対に失敗出来ないという決意もありました。
開業当初は同業者の一部から「在宅クリニックって何や?」と白い眼で見られていたのも分かっていたので、仕事で見返してやろうと私の大きな原動力になっていました。
去年からは神﨑先生と千葉看護師という信頼できる仲間も増えました。
5年間の活動で一定の結果は出せたと考えていますが、今一度冷静に振り返りを行い今後の課題を再検討するつもりです。

私達が心掛けているのは、全国水準の質の高い在宅医療を和歌山市で提供することです。
私も神﨑先生もまだまだ全国水準ではありませんが、常に向上心を忘れずに日々訪問しています。




仲良し兄弟の里親になって1年が過ぎました。
健康でイタズラも喧嘩もしないため、本当に飼いやすい兄弟です。
いつも癒されています。
 

2022-05-16 00:27:35

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大切なお知らせです

いつも当クリニックのブログをご覧になって頂きありがとうございます。
皆様に大切なお知らせです。

来月の5月中は新患さんの受け入れを休止させて頂きます。
理由は5月中旬~下旬にクリニックのリフォームを行うためです。
そのため現在担当している患者さんに影響が出ないように、新規受け入れを休止します。
それに伴い今月中も院長担当の新規依頼はストップとし、神﨑先生担当の依頼を若干名のみお引き受けさせて頂きます。


開業してもうすぐ5年が過ぎようとしてます。
この5年間、本当に1日も休まずに訪問診療を続けてまいりました。
リフォーム期間中も仕事はしますが、少しだけお休みを頂き事務所だけでなく私もリフレッシュするつもりです。

工事期間の詳細は、また後日お知らせ致します。
​皆様には大変ご迷惑をお掛けしますが、何卒ご了承下さい。



(ご家族の許可を得て公開しています)

このブログに時々登場してくれるKちゃんです。
なんとなんと4歳を超えました。
1歳を迎えられない確率が90%と小児科の先生に言われていたのに、凄いの一言です。
看護師さん達にも大人気。
ご家族にとっても我々在宅スタッフにとっても天使のKちゃんは、今日も一生懸命生きています。
 

2022-04-17 22:41:39

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いくつになっても

桜の季節も過ぎ、昼間の車内は暑いくらいになってきましたね。
4月は異動の季節でもありますね。
大きな組織で働かれていたお知り合い2名が、それぞれ新しい職場に転職されました。
お一人とは2人だけで送別会をし、もうお一人はクリニックにご挨拶に来てくれ、新たな門出を応援させて頂きました。
ちなみに当クリニックは何も変わりなく診療を継続しています。


先日、行きつけの喫茶店に半年ぶりに行くと、お店の一角に真新しいグランドピアノが置いてありびっくりしました。
コーヒーを注文するのも忘れてマスターに聞くと、ニヤニヤしながら「買ったよ」と。
譜面台には初心者用の楽譜が置いており、「僕が練習してるの」とおっしゃいます。



このマスター、お年は80代です。
80歳超えても、新しい事に挑戦するとは素晴らしいですよね。
帰りの高速道路を運転しながら、私も挑戦する気持ちを忘れないようにという想いを再認識しました。


この日の事とは関係ないのですが、仕事面で新たな取り組みをすることになりました。
既に実行されている医師も多いので、遅ればせながらなのですが・・・。
また機会があればご報告したいと思います。
 

2022-04-13 18:30:29

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訪問先で

すっかり春で、桜もどんどん咲いていますね。
少し前ですが、訪問先のご近所で見事な木蓮が咲いているのを見かけました。
木蓮の事を詳しくは知らなかったので調べてみたら、主に3種類あるんですね。
そして3種類のうちで私が見たのは、更紗木蓮のようです。



ここで気になったのが、「更紗」です。
初めて聞いた言葉でしたが、これも調べてみたら人生で1度はどこかで見たことがあるモノでした。

「木蓮」でいつも思い出すのは、「木蓮の涙」です。
約30年前の曲なので、よく知っている人は私より年上の方でしょう。
この曲の詩のような自己体験はないのですが、何故か私の記憶に残る曲で、初めて聞いた学生時代以来今でもよく聴いています。

「木蘭の涙~acoustic~」スターダスト☆レビュー【LIVE】 - YouTube

沁みる名曲です・・・。





私には、沁みる兄弟です。

2022-03-30 04:39:45

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在宅看取り率が100%って

徐々に春が近づいていますね。
我々以上に高齢の患者さん達に厳しい冬が終わります。
今冬も高齢者のお看取りが多かったです。

私のクリニックは在宅医療専門ですが、在宅看取りが最終目的ではありません。
様々な理由で病院で最期を迎える方や、特養へ入所で私の担当が終了する患者さんがおられます。
あくまでも患者さん/家族さんが自宅で過ごしたいというをサポートするのが目的で、その結果自宅でお看取りまで担当するケースも多いです。

以前東京の在宅クリニックで修行をしていた時、そこのクリニックは在宅看取り率100%でした。
実際勤務してみると、ほとんどの方は自宅看取りを希望して紹介されてくるのですが、中には途中で方針を変えたいというケースもありました。
その時は「君の今日の訪問で、本人/家族を説得するように」とクリニック幹部から強く指導されていました。
私が説得に失敗すると次は院長が訪問して、その結果は全ケースが在宅医療継続となっていました。
それが在宅看取り率100%のからくりでした。

その数字に不自然な印象しか感じられなかったので、学会や勉強会で全国の在宅医に聞くと、皆さん口を揃えて70~85%が妥当な数字と答えておられました。
在宅医療を断念する理由は様々です。

・病状悪化で症状緩和が不十分な時
・本人が家族に気を遣って
・家族の介護負担が限界
・経済的理由etc

私のクリニックの在宅看取り率は、がん患者さんも非がん患者さんも80%です。
開業以来ずっと75~80%で推移しています。

私は東京時代の経験を踏まえて、入院を認めないという事は絶対にしません。
私に直接言いにくい患者さん/家族さんもおられますから、訪看さんやケアマネージャーさんとも連絡を密にしています。
入院先の病院も、ご本人/家族さんと一緒に相談して決めることがほとんどです。

在宅医療は誰のための医療でしょうか?
決して在宅医/在宅クリニックのための医療ではありません。
青臭いですが、あくまでも患者さん/家族さんのための医療であるべきというのが私の信念です。


普段から心掛けているのは、

・極力シンプルな在宅医療
・訪看さん、ケアマネさん、その他のスタッフの意見を、聴いて尊重して任す
・24時間365日の対応

たったこれだけです。
その実現のために自己犠牲にしているものは少なくありません。
この道をストイックに追求していますが、私の仕事によって一番救われているのは、もしかしたら私自身なのかもしれませんね。

 

2022-03-20 23:24:09

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