たぶせ在宅クリニック 和歌山市の訪問診療

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院長コラムhead doctor’s blog

創意工夫25.6.15

在宅医療

蒸し暑い季節となりました。
明日からは真夏スタイルで訪問して、暑さ対策を万全にしようと考えています。

在宅医療では薬は病院とほぼ同じ物を揃えられますが、医療物品の全てが揃っている訳ではありません。
在宅クリニックは在宅医療で必要な物品の大半はクリニック側が提供する義務がありますが、それでも病院のようにありとあらゆる物は揃えられません。
例えば、ガーゼや吸引チューブなら、形は1種類でサイズが2~3種類です。
点滴を行う際、病院やクリニックだと点滴をぶら下げる支柱台がありますが、自宅にそんな物はありませんので、S字フックを壁やカーテンレールに引っ掛けて点滴をぶら下げます。

私達在宅スタッフは少ない物品でも必要な在宅ケアが出来るように工夫していますが、時に私達の想像を遥かに超えて、ご自分で製作する方と出会います。私の記憶にある物では、

・自作の支柱台
・自作の吸引器
・自作の手押し車や歩行器
・自作の介護用ベッドやサイドテーブル

このうち吸引器以外は私が訪問すると既に使用中だったので、そのまま使用することを許可するしかありませんでした。
自作吸引器は、ご家族さんが試作していましたが、最期まで吸引不要だったので実際には出番はありませんでした。
いずれも製作者は医療関係者ではないので、私には「これ、使っても大丈夫かな」と見える物が多かったです。

また介護面でも様々な工夫と出会いますが、なかには私達のような専門職が経験したことない方法で、全く問題なく介護されている現場にも遭遇します。
その根底にあるのは、本人を支えようとする熱い想いです。
上記のような場面と遭遇して、医療安全面から認められないと考える医療者もおられると思いますが、私は余程の無茶な方法でない限り出来るだけ認めて、なんなら他の患者さんにも応用出来ないかよく観察することもあります。
そんな創意工夫を見せつけられると、私達ももっと頑張らなければと気持ちを新たにして頂けます。
これだから在宅医療は辞められません。

先月、関東在住の人生の先輩が神戸に来られたので、待ち合わせ場所の六甲山に伺いました。
下界では天気は悪くなかったのに、山中の待ち合わせ場所では幻想的な霧の世界。
景色は残念でしたが、私とは全く違う業界で活躍されている方との2時間は、大変興味深く様々な学びがあり貴重な時間となりました。