院長コラムhead doctor’s blog
些細な事ですが26.9.17
今回は90代前半女性のお話しです。
病名は癌ではなく、全身の関節痛と心不全の方でした。
元々別の先生が担当されていましたが、ご本人とご家族の希望で私に主治医が変更となりました。
この女性は、長年の関節痛がひどくて自分では動けず、朝から夕方までずっと自室で車椅子に座って、ただただ時間が過ぎるのを待つという生活でした。
車椅子の位置の正面には窓がありますが、上1/4は空が見えるものの下3/4はお隣さんの壁です。
そんな状況ですから、「毎日楽しくない。時間が過ぎるのが長くて、毎日地獄です。」が口癖でした。
肉体的な関節痛と生きること自体の辛さによるスピリチュアルペインが合併している状況に対して、担当のケアマネさんや訪問看護師さんがいくつか工夫や提案をされましたが、ご本人の性格の問題もあったりで結果的に全て却下されてしまいました。
座っている車椅子の前のデスクは常に物を重ねて置いてある状態なのですが、何度目かの訪問時に多くの物の下に小型のCDプレイヤーがあることに気付きました。
「音楽は聴かないのですか?」と聞くと、「以前は聴いていたけど、今は指で細かい動きが出来ないのでボタンを正確に押せないから使っていない」「ボタンを自分で押せるなら、今でも音楽は聴きたい」と。
その場でアシテックオコの小林さんに電話すると、「簡単に押せるように出来ますよ」との返事。
後日、小林さん自作の操作ボタンが完成し、この女性は自分でCDプレイヤーを操作して再び音楽を聴けるようになりました。
関節痛は不変のままですし、音楽が聴けるようになっただけで地獄から解放される訳ではありませんが、笑顔で音楽を聴いている姿を拝見すると僅かでも安らぎを提供出来て良かったと思います。
