たぶせ在宅クリニック 和歌山市の訪問診療

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院長コラムhead doctor’s blog

これが真の看取り・・・!?23.10.1

在宅医療

今日は久しぶりに難波に出掛けたのですが、外国人客の多さにびっくりしました。円安の影響は計り知れないですね。

さて先日、偶然が重なったお看取りがありました。                           施設入所中の90代の女性で、私は4年前から担当しています。いくつかの慢性疾患をお持ちで、自力では移動出来ない方でしたが、認知症はなく会話は可能な方です。非常に好奇心が旺盛な方で、私が行く度に、政治・経済・国際・医療・介護・宇宙・宗教・文化など毎回違うテーマでお話しされ、「先生は○○についてどう思いますか?」と聞かれるので私も出来る限り自分の意見をお伝えしていました。

施設入所というのは、介護の面ではご本人にメリットが多いですが、生活の自由度は自宅よりかなり狭いため、私の訪問をいつも楽しみにされていました。

今年の春から徐々に体調が低下し一旦は回復しましたが、その後は再び低下傾向が続いていました。経過から老衰と考えられ、ご本人は元気な頃から「私の最期は絶対に田伏先生に看取って欲しい」と希望されていましたので、ご家族の了解を得て入院はせずに必要なケアを提供していました。

担当患者さんがいつお迎えが来るかは、がん患者さんは比較的予想出来るのですが、非がん患者さんは難しいです。この方もまだ1~2週間はあるかなと思っていたある金曜日のことです。急に別の患者さんの訪問が入り、その道中にこの方の施設があったので、「週末に入る前に、ちょっと顔だけでも見て、状態をチェックしつつご本人に安心してもらおう」と軽い気持ちで施設に寄りました。

私が予定外で突然訪問したので驚いている施設スタッフに「今朝の様子はどうですか?」と伺うと、「血圧は低いままですが、頑張っています」と答えがあり、部屋に入りました。「○○さん、おはようございます、田伏です」といつもと同じ声掛けで入ると、返事がありません。状態悪いし返事がなくて当然と思い、ベッドサイドまで行き顔を見ると真っ白でした。この時点で私も流石におかしいと気付き、脈と呼吸を確認すると呼吸はわずかにしていますが、既に脈はありませんでした。もう数分で呼吸も止まることは確実だったのでご家族を呼んでいる時間はなく、勤務中の施設スタッフを集めて皆が見守るなかで旅立たれました。

患者さんの最期の瞬間にリアルタイムで立ち会うことは、日々看取りに関わっている私でさえほとんど経験はありません。私は予知能力や霊感は全くありませんので、今回は完全に偶然が重なり立ち会うこととなりましたが、在宅医として貴重な経験をさせて頂きました。                      

                                                                           

仲良し兄弟は、今日も変わらず仲良しです。