たぶせ在宅クリニック 和歌山市の訪問診療

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院長コラムhead doctor’s blog

7回忌23.11.28

在宅医療

時間の経過は早いもので、今年も1カ月余りですね。今回は開業1年目にお看取りを担当した方のお話しです。

80代男性のがん患者さんで、自宅看取りも含めた在宅医療希望で担当しました。ご本人は認知症はなく、残された時間を妻と共に自宅で静かに過ごしたいというご希望でした。人生の振り返りなどを聴かせてもらいながら、変化する症状に対応して穏やかな時間を過ごされていました。

その後は徐々に症状が悪化し寝たきりとなってしまいましたが、ご本人の希望通りの自宅療養が続いていたある日のことです。

「先生、私の希望通りにしてくれてありがとう。在宅医療を選んで良かったが、最後に1つだけ頼みがある。私が死んだ後、妻の面倒を見てやって欲しい。それだけお願いしますね。」

この方は奥様を凄く大切にされてこられ、かつ子供さんがおられないので、残される妻のことが唯一の心配だったのです。「分かりました、お約束します」と私が返すと、ホッとした表情で大きく頷かれていました。

この方をお看取りしてからは、遺言通り独り暮らしの奥様を月1回訪問しています。奥様は今もお元気なので訪問しても近況報告が中心ですが、毎回必ず仏壇に挨拶をしてから帰ります。

そして先月の訪問で、主人の7回忌がありましたと伺いました。奥様は笑いながら「まだ主人は迎えに来ないから、それまではもう少し先生が付き合ってね」と。

またある時は、予約の日時に伺うと、鍵が掛かっていて入れませんでした。家の前から電話をしても出ません。次の予約の人が近所だったので、その人を訪問してからもう1度伺っても閉まったままで電話にも出ません。独居ですがこんな事は1度もなかったので最悪の事も想定しながら、鍵をお持ちの親戚の方に連絡して来てもらうと寝室で爆睡していたこともありました。

在宅医療には様々なケースがありますが、それが難しさでもあり面白さでもあります。