院長コラムhead doctor’s blog
脱・人間不信25.5.7
患者さんには様々な方がおられ、自宅の中に入るのでその人の歴史や生き様が分かります。
今回は人間不信から脱却された患者さんのお話しです。
80代、男性、独居で、主たる病気は糖尿病です。
病院の内科外来に通院していましたが、体調不良を契機に通院を中断し、インスリン注射や内服も不規則となり、自宅で動けなくなって緊急での訪問診療の依頼でした。
自室は荒れ放題で、スリッパを履かないと入れない状況でした。
命には別条はなかったので、当面の方針を本人、訪問看護師さんと相談しました。
訪問を数回する頃には病状は安定し、訪問看護師さんとヘルパーさんのお陰で自室も綺麗に片付いたのでスリッパも不要となりました。
認知症はない方なのでご本人との雑談をするうちに、人生でいろんな事があり人間不信になっていて死ぬまで人間不信のままと思っていたが、我々在宅スタッフの関わりのお陰でもう1度人間が好きになったと話されました。
「質の高い在宅医療とは何か」というテーマに対する1つの答えがここにはあります。
専門的な医療や看護ケアを提供するだけでなく、人を診る/看ることの大切さを患者さんから教えて頂けます。
この方が人間不信を脱却出来たのは、訪問看護師さんとヘルパーさんの献身的な働きのお陰です。
私は彼らをよく知っているのですが、本来の看護や介護の提供だけでなく、困っている人にはそれを超えて生活面や精神面のケアを提供しています。
今の時代、コンプライアンスや働き方改革、人不足で本来の業務を超えてのサービス提供は難しくなっていますが、やる気と工夫と責任者の心があればまだまだ可能です。
私も彼らに負けないように、しっかりと自分の役割を果たします。

上記とは別の患者さんです。
聴診器に興味深々だったので私の音を聴いてもらうと、「聴診器って、こんなによく聴こえるんやね」との感想を頂きました。
この写真には私が患者さんに常に実践にしているポイントが4つ写っています。
皆さん、分かりますか?