たぶせ在宅クリニック

和歌山市の訪問診療 たぶせ在宅クリニック

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障害特性を持つ方の在宅医療③

前回の続きです。

「私たちが自宅で最期まで面倒をみたい」
この方の両親と初めてお会いした時に、希望されたことはたった1つです。

出生時より30数年間、ずっと親子一緒に過ごしてこられました。
部屋には外出や旅行の写真がたくさんありました。
それぞれのエピソードを聞きながら両親の想いを伺っていると、お二人の覚悟は非常に強いものでした。
もしかしたら70歳前後のお二人には、今ならまだ体力的に全力で息子の看病が出来るという気持ちもあったのかもしれません。
そして、私の役割は非常に明確であることをすぐに理解しました。

訪問看護師さんも担当してくれた薬局さんも非常に協力して頂きました。
彼と両親のための在宅医療チームは上手く機能し、看取りまで何のトラブルもなく役割を果たすことが出来ました。
そして多くのことを学ばせてもらえました。

四十九日が過ぎた頃に自宅に弔問に行くと、両親はまだまだ深い悲しみをお持ちでしたが、それでも感謝の言葉を頂戴しました。
自宅の庭には四季折々の花が植えられています。
他の患者さんの訪問のために彼の自宅前を通ることがあるのですが、四季の花が咲いているのを見るとなんだか嬉しくなります。

ご両親は当然でしょうが、私の心の中にも彼はいつもいます。
学びの機会を与えてくれた彼と両親に感謝しながら、これからも日々の訪問診療を続けていきます。





日野原先生は多くのお言葉を遺されていますが、右の本の中に紹介されている1つを紹介します。
「いよいよ患者の死が近いというときに、私たちがしなくてはならないのは、医師としてこの人の命を伸ばすこと以上に何をすべきかを考えることです」

このお言葉に少しでも近づけるように、日々勉強です。


左の本は、今現在呼んでいる本です。
医師/看護師向けの本ですが、現在の日本の緩和ケアの潮流に警鐘を鳴らす一冊です。
読みごたえのある本なので、時間は掛かりますがしっかりと学びたいと思います。
 

2019-07-11 22:41:45

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障害特性を持つ方の在宅医療②

2回目の訪問では、ご本人と触れ合うことをテーマとしました。
両親に本人の好きな言葉や動きを教えてもらい、彼と一緒に遊ぶ感じでやってみました。
また子供向けの電車のビデオが大好きなので、一緒に見たりもしました。

そうやっているうちに徐々に慣れてくれて、訪問しても驚いたり大声を出したりしなくなりました。
「今日は食べましたか?」「お腹の痛みはないですか?」ような簡単な質問に対して、本人のYes or Noの仕草も理解できるようになりました。
あとは両親が普段の様子を詳細に報告してくれるので、私も彼に必要な訪問診療の提供が出来るようになってきました。

訪問開始から1か月半を過ぎると、徐々にがんの痛みが出現し食事量も減ってきました。
医療用麻薬を導入すると疼痛も軽減し、普段に近い生活を継続出来ました。
この頃には本人も完全に私の事を「自分の味方」と認識してくれています。

2か月半を超えた辺りから、腹水が増えて寝ていることが多くなりました。
それでも調子のいい日は、本人の大好きな両親と3人でのドライブに出かけていました。

亡くなるまでの2週間はほとんど寝たきりでしたが、両親の手厚い看病の元で穏やかに過ごしました。
幼少の頃より座薬も使用していたので、レスキューの座薬もお母さんが慌てずに上手に入れてくれます。

そして訪問開始から3カ月半が過ぎたある日、彼は両親と姉に見守られながら静かに旅立ちました。



私が初めに心配した、「自分にはこの患者さんを担当出来るかな」という思いは杞憂に終わりました。
他の患者さんとほとんど同じ関わりで看取りまで担当することが出来ました。
唯一心掛けたことは、彼と同じ目線に合わすことだけでした。

例えば・・・、
訪問初期の頃は、室内を歩き回ってなかなか診察をさせてくれませんでした。
いつも彼は和室に布団を引いて寝ており、その布団の横に先に私が寝て待っていると、
しばらくしてから彼も布団に横になってくれて、そして診察をしていました。

どうしてもドライブに行きたい時と私の訪問時間が重なった時は、
彼は車の中で両親を待っていて、車から出てきませんでした。
そんな時は無理に車から出さずとも、両親に調子を確認したら済みます。
(調子が悪ければドライブに行こうとはしないハズですからね)


この経験をして以降、今では何人かの知的障害をお持ちの方も担当しています。
今回の話し、まだ続きがありますので、それは次回に。
 

2019-07-08 18:19:08

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障害特性を持つ方の在宅医療①

今回は、昨年担当した患者さんのことを書きます。

30代、男性、胃がんとある病院で診断されました。
本来ならがんの治療(手術)を行うのですが、重度精神遅滞(知的障害)があるために入院治療が出来ないので、
あとは在宅で診て欲しいという依頼でした。

両親が自宅でずっと世話をしていて、公的な福祉関係の支援は受けていました。
しかし医療の関しては、病院から無理と言われると、本人と家族は途方に暮れてしまいます。

障害者の方でもがんになることはあるのに、障害特性のために大病院での入院は難しいということで、
よくよく振り返ってみると、勤務医時代に障害者の担当医になったことは記憶にありませんでした。

この患者さんの依頼を聞いた時には、果たして私に診れるかなと初めは考えました。
でも私が断ったら、もしかしたらこの人達に在宅医は見つからないかもと思い、お引き受けをしました。


自宅へ初回訪問する時は、いつも以上に緊張していたのを今でも覚えています。
ご本人は自宅に初めて来た人間に戸惑っていました。
身体障害はなかったため、部屋の中を時折声を上げながらウロウロと歩き回っています。
本人の横では、両親は一生懸命私と訪問看護師さんのことを本人に説明してくれています。

歩き回っている姿と表情を見ていると、少なくとも大きな痛みと呼吸苦がないということは分かりました。

とにかく本人に慣れてもらうために、笑顔を絶やさず静かに待ちながら、両親から本人の情報収集をしました。
私達が両親と話しているのを見ているうちに、本人は少しずつ落ち着きを取り戻していきます。

本来は診察をしますが、歩き回っているし経口摂取もしていたので、その日は無理に診察をしませんでした。
もしも病院受診の時に、聴診や診察で体に触れられたことに恐怖を持っていたら、以後の訪問診療に大きなハンデとなるかもしれない可能性も考慮しました。

こうして、私にとって初めての重度障害者の方の在宅医療が始まりました。
長くなるので、続きは後ほど。


追記 
病院側を責める意図で書いているのではありませんので、誤解されないようにお願いします。
重度障害者の場合、入院を維持するのが病院側にとっていかに難しいかはよく分かっています。
この方を担当することで、私が知らなかった在宅医の大事な役割の1つを学ぶきっかけになったので、病院から私を指名で紹介して頂いて感謝しています。
 

2019-07-04 23:20:56

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若年がん患者の在宅ターミナルケア支援事業の紹介

以前に案内した「若年がん患者の在宅ターミナルケア支援事業」ですが、
関係各位のお蔭で、県庁のホームページにも掲載されています。

これからはこの制度の啓発と利用が大事になりますので、繰り返しになりますが案内致します。
是非、皆さんの周りにも対象の方がおられれば、教えてあげて下さいね。

和歌山県庁 健康推進課
若年がん患者の在宅ターミナルケア支援事業
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/041200/h_sippei/gannet/01/07.html







先日、若手医師の会を開催したら、なんと参加者が23名にまで増えました。
1年数カ月前に立ち上げた時は、わずか4人だったのですが・・・。
嬉しいことに卒後3年目や4年目という研修医上がりの若い先生も増えてきています。

病院医療と在宅医療は、患者/家族さんへ提供する医療が全く異なります。
在宅医療を知らない先生方に少しでも知って頂いて、この会を通じて徐々に在宅医療の裾野が広がればいいですね。

ご興味のある先生は、是非ご参加下さい。
ご連絡、お待ちしています。


 

2019-06-26 18:37:18

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Kちゃんは

今回は担当しているKちゃんの報告です。

2月生まれなので、現在1歳4か月です。
病院小児科の担当医の話しでは、Kちゃんのような疾患の子は1歳を超えるのはわずか10%ということです。
大きな変化はなく、体重(2Kg台)もほとんど変わることなく、自宅で家族に囲まれて過ごしています。

今月は、今まで病院で行っていた胃ろうの定期交換を自宅で行いました。
私が元消化器内科医であることが活きました。

Kちゃんは在宅酸素をしていて、酸素濃度をベッド内に置いている機械で常時モニターしています。
お母さんの話しでは、私の訪問の時は何故か酸素濃度が上がるらしいのです。

大人の診察時は、患者さんは医者には痛いとか調子が悪いとは言わず、調子が良いように申告することはよくあることです。
しかしKちゃんはそこまで相手をみているとは考えにくいです。
何故、酸素濃度が上がるのかは謎のままですが、Kちゃんに少なくとも嫌われていないのだと勝手に良いように解釈しておきます。

ご家族さんだけでなく、我々在宅スタッフにとってもKちゃんは天使の存在です。



(Kちゃんのご家族の許可を得て公開)

指をおしゃぶりしているのは、機嫌が良いサインです。
 

2019-06-20 23:53:21

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人は生きてきたように

皆さんは、淀川キリスト教病院の柏木哲夫先生をご存知でしょうか?
ご高名な先生ですからご存知の方も多いと思います。
私は先生の講演を何回拝聴したか分かりません。

先生がいつもお話しされることの1つに、「人は生きてきたように死んでいく」という言葉があります。
本当にその通りだと思います。

看取りをしていていつも思うのが、どうして人によってこんなにも差があるのかということです。
穏やかな表情で最後の瞬間まで過ごす方もいれば、私たちがどんなに密接に関わっても苦しんで最期を迎える方もいます。
もちろん様々な要因がそこにはあるのですが、その人の生き方を反映していることも多いです。

在宅医療をしていると自宅の中に入りますから、その人の生き方が必ず見えてしまいます。
そしていつも思うのは、自分はいかに幸せな人間なんだということです。
だからこそ余計に、今の自分の役割をストイックに果たしたいと考えます。

その彼方に、自分自身の穏やかな最期があると信じて・・・。





本日も日課にしている和歌山城内の散歩していると、今夜は満月でした。
昨年秋から、週2回以上の散歩を続けています。
主に和歌山城周辺を歩いているのですが、先日ある訪問看護師さんに目撃されていました。

皆さんは体調管理に気をつけていることはありますか?
 

2019-06-17 22:39:05

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開業後2年間のデータ③


医療用麻薬はがんの疼痛と呼吸苦に対して使用します。
私は医療用麻薬の使用を積極的に行う医師ですが、それでも1/4の人には医療用麻薬は不要でした。
がんであっても最期まで痛みや呼吸苦がない状態ですごせる人もいるんですね。

持続鎮静とは注射の薬物で深い眠りにすることです。
持続鎮静は医師や施設によって実施率はバラバラです。
一般的に鎮静率は、「病院で高い・在宅で低い」傾向にあるのですが、全国の在宅医で高率に鎮静を行っている医師はいます。
私は安易な持続鎮静には否定的な立場ですが、必要と判断した方には実施しています。
持続鎮静を行うかどうかは私だけで決めるのではなく、本人/家族さん、担当訪問看護師と十分な相談が必須です。





紹介元と療養場所についても参考として挙げておきます。
密室医療にならないように、今後も可能な限り診療内容を公開していくつもりです。

2019-06-09 11:58:27

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開業後2年間のデータ②

先日公開したデータの続きです。
在宅看取りを行ったがん患者さん67人の詳細について公開します。


 
平均診療期間は25日ですが、15日以内のケースが全体の1/3もあります。
その理由は主に、癌の病状は最期に一気に悪くなりますがその時に紹介されたということです。
本人/家族さんはそこまで悪いと思っていない方が多いので、依頼がある時にどの程度の病状であるか確認を大事にしています。
そして初回訪問時にご本人を診て、残された時間が1か月以内/1~3か月/3カ月以上の見立てをして、訪問診療の計画を立てます。

多くの方は短い反面、8人の方は3カ月以上のお付き合いとなりました。
一見長いと良いと感じるかもしれませんが、本人の精神状態・家族の介護負担に細心の注意が必要です。

これだけ短い期間で、信頼関係を構築しいかに質の高い在宅医療を提供するか、お一人お一人に個別的な対応を心掛けています。


次に患者さんの年齢です。



患者さんの年齢は、70歳以上が3/4です。
100歳以上はまだ担当経験がなく、現在10代の患者さんを1名担当しています。


データはまだあるのですが長くなるので、その③に続きます。
 

2019-06-08 22:51:09

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開業後2年間のデータ



開業後2年間の報告です。
在宅看取り率は、75%。
在宅看取りをしたがん患者さんの平均診療期間は、25日。

「たった25日」の診療期間を、訪問看護師さんを中心とした多職種スタッフと一緒にご本人/家族さんの自宅療養のお手伝いをさせて頂いています。


この2年間で数多くの貴重な経験をさせて頂きました。
今の自分の立ち位置が分かっただけでなく、自分に足りない点や修正すべき課題も見えています。
また私一人だけではどうにもならない問題点もあります。

新規開業後の足場はほぼ固まったので、これからは次のステップに進みたいと考えています。
やるべき事はたくさんありますが、その核となるのは質の高い在宅医療を提供できる在宅医をもっと増やすことです。

在宅医を志す若手医師のお手伝いが出来るように準備を進めていきます。


 

2019-06-02 07:05:46

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まだ2年しか

5月の連休明け以降は本当に大変でした。
特に先週は完全にバテてしまっていて、いつもの調子が出せずにかなり無理をした毎日でした。
ようやく様々な事が落ち着きつつあります。


もうすぐ開業して2年ですが、最近は周りから「まだ2年しか経ってないの?」と言われます。
まだまだ未熟な部分が多いですが、それでもこの2年間で分かったことがあります。

(和歌山の)常識に囚われず自分の信念に従って仕事をすれば、質の高い在宅医療の提供は不可能ではないということです。
これには多くの方々の協力があればこそです。
そして自己犠牲もありますが、私が追い求めている苦労した先にある景色がほんの少し見え始めてきました。


来年以降、和歌山市内に私のような在宅の専門医師が年に1人ずつ増える予定です。
今後開業する先生方とも密接に連携してもっと多くの方に質の高い在宅医療を届けられるように、引き続き活動を進めていきます。


決して驕らず、しかし在宅の専門医師として恥ずかしくない仕事を心掛けます。


 

2019-05-28 22:17:22

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