たぶせ在宅クリニック

和歌山市の訪問診療 たぶせ在宅クリニック

〒640-8264 和歌山市湊桶屋町10 M&MビルA号室
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院長のブログ

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静岡がんセンター②

がんセンターのお話しの続きです。

勤務が始まってからは、それはもう大変な世界でした。
カンファレンスでの専門用語や略語が全く聞いたことがない単語ばかりで、日本語で話しているのに何を言っているのか全然分かりませんでした。
仕事は7時半~18時まででしたが、時間厳守で少しでも遅れることは許されませんでした。
カンファレンスもダラダラするのではなく、端的に要点だけのプレゼンを求められます。
スタッフの先生方は想像を絶するほど激務なのに、人前では「忙しい」とは絶対に言いませんでした。
どんなに忙しい時でも、電話対応や頼まれごとを断らずに引き受けます。

和歌山の田舎から出てきた私には、世界を相手にしている真のプロの姿勢を見せつけられました。
あまりの厳しさに途中でやめるレジデントもいましたが、教授を口説き落とした手前、「負け犬状態」で和歌山に帰る訳にもいかず、とにかく必死で2年間走りきりました。
全く優秀なレジデントではなかったですが、私にとってはお金では買えない貴重な経験と財産を得ました。
そしてこの2年間で自分の立ち位置/役割というものを非常に意識するようになりました。



先日、抗がん剤治療中の患者さんの在宅療養の支援目的で大病院より紹介を頂きました。
その患者さんは抗がん剤の副作用の吐き気/嘔吐でとても苦しまれていました。
病院の主治医先生は複数の制吐剤を出されていましたが、効果は出ていませんでした。

私はがんセンターで学んだ知識を使って、ある薬を処方したところ、一発で吐き気・嘔吐が止まりました。
患者さんはもちろん喜んで下さいましたが、私も静岡で頑張ったことが今でも役立ったことが嬉しかったです。





和歌山市内で醸造している世界初の麹から作る発泡酒だそうで、お店で勧められて頂きました。
あっさりとしたお味で、通常のビールよりも飲みやすかったです。

オリゼーブルーイング
https://oryzaebrewing.com/

2019-11-13 22:52:13

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じっくりと聴いていると・・・

寒くなったからだと思いますが、年配患者さんの発熱が増えています。
ほとんどの方は重症にはなりませんが、余力の少ない状態ですから、ちょっとした風邪から重症に発展することもあります。
出来るだけ往診対応を心掛けています。


普段の訪問診療で可能な限りじっくりとお話しを聴いていると、実に様々なお話しを聴けます。
いい話しばかりではなく、現在の医療に対する「生の声」を聴くことも多いです。

私のクリニックへの紹介元は、大抵は病院です。
その病院自体の方針、医師の対応、看護師の対応、それ以外の職員の対応etc・・・。

「ほとんど説明がなかった」
「先生の方針に沿わない質問すると怒鳴られた」
「(入院中)主治医の顔をほとんど見なかった」
「(入院中)看護師の間で申し送りが全くされていなかった」
「(大病院)主治医の専門外は、かなり悪い状態でも絶対に診てくれない」

自分自身が勤務医の時にしていた行動も多く含まれているので、そんな時は心の中でひたすら反省しています。

決して病院側を責めるつもりはありません。
何故なら病院に関する国の制度や人員不足問題で、現場ではどうしようもない事も多いからです。
大病院も中小病院もそれぞれ非常に多くの問題を抱えながら、日々の医療を行っています。

在宅医療に従事するようになってから現在の医療の限界を超えた患者さんを多く担当するようになりました。
医学では治らない人に医療者としていかに接するかは、難しいことだと思う人もいるでしょう。

私が大事にしているのは、ユーモアを交えながらただ「聴く」ということです。
私の在宅医療は、「聴く」に始まり、そして「聴く」に終わります。

「聴いて」いれば、軽くなる痛みもあります。
「聴いて」いれば、薬の数も減ることもあります。
そして「聴いて」いれば、我々が患者/家族さんから教えて頂けることも多いです。

在宅医療を知らない医療者はきっと鼻で笑うことでしょう。
でもこれは偽らざる真実です。
病院でしか出来ない医療があるように、在宅でしか出来ない医療もあることを実践しながら確信しています。



先月某日、末期がんの小学生で、今日にでも亡くなる可能性があるから、緊急で診て欲しいという依頼をお引き受けしました。
その日の夕方に初回訪問をしましたが、本当に厳しい状態でした。
しかし、何故か分かりませんが翌日には持ち直して、その後は調子が良ければ小学校に行ったり、家族と外出したりしています。
初回訪問から1か月近くが経ちましたが、昨日も1時限だけ授業に参加しています。
これからもご家族や友達との時間が少しでも続けばいいですね。


次回はがんセンターのお話しの続きです。

2019-11-08 18:20:13

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静岡がんセンター

私は以前がんセンターで勤務していたことがります。
和歌山にはがんセンターがないので馴染みがない人も多いと思います。

何故がんセンターで勤務したかというと、抗がん剤治療の専門的な経験を積むためです。
何故抗がん剤治療の経験を積もうと思ったかというと、緩和ケアに必ず役立つと考えたからです。

がんと診断された患者さんが手術が出来ない状態であれば、否が応でも抗がん剤治療しかありません。
そして抗がん治療が終わると、緩和ケア専念となります。
つまり多くのがん患者さんは抗がん剤治療を経験することになります。

しかし抗がん剤治療の専門的な経験を積める病院が約8年前は和歌山にはありませんでした。
将来、自分が緩和ケアの仕事をするのに、抗がん剤治療の経験は必須と考えました。
そこで当時の教授に志願してがんセンターでの勤務を希望しました。
当初は許可が出なかったのですが、1年以上かけて教授を口説いて、というか私の説得を諦めてもらって許可を頂きました。


私が勤務した静岡県立静岡がんセンターは、消化器内科の世界では全国トップ3の病院でした。
名前の通り、がん患者しか診ない、がんの治療と研究に特化した病院です。
(がんセンターの目の前で交通事故があっても、救急車は別の病院に行きます)
研修医は雇用しておらず、一番若い医師で卒後5年目で、私は卒後8年目で行きました。
大学病院の系列には属さず、全国からがん治療/研究をしたい医師が集まっていました。

医師の身分はスタッフとレジデントというたった2つだけです。
レジデントは私のようにがん治療を学びたい若い医師で、2~3年の雇用契約で、その後は業績を認められたレジデントだけがスタッフへ昇格、それ以外のレジデントはがんセンターを去るのみの2択でした。

各科に凄腕のスタッフがいますから、患者さんは地元の人だけでなく遠方からもやってきます。
静岡がんセンターは新幹線の三島駅に近いので、東は東京、西は名古屋からでも来ていました。

院内も素晴らしい設備と人員が揃っていて和歌山では見たことのない病院環境で、勤務前は楽しみでワクワクしていました。
しかし、勤務が始まって1週間で私の顔から血の気はなくなりました・・・。

続きます。

2019-11-07 23:48:26

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時代は

10月もあっという間に過ぎてしまいました。
寒くなり体調を崩す患者さんも出てきています。
そして今日も患者さんとのお別れがありました・・・。
夜明け前のガラガラの国道を走りながら、いつも思うのは、病気に祝日も夜間早朝も関係ないということです。


さて、先月某日、ある場所で小さな会合を行いました。
和歌山市の在宅医療の問題点を1つでも改善しようとする有志の会です。

現在の問題点とその改善策を議論しました。
本当に多岐に渡る問題点があり、その改善は長い長い道のりです。
既得権益とぶつかるかもしれません。
組織の壁にぶつかることも予想されます。

しかしほんの数年後の未来を予測すると、そのことを真の意味で認識している人がどれくらいおられるでしょうか?
在宅医療を取り巻く社会環境はここ5年で激変します(勿論悪い方向へ)。
「今、特に問題ないから」と考えている人も多いようですが、残念ながら今後は必ず厳しい状況になります。

構想は数年掛かりの計画です。
開業してまだ2年ちょっとと短いながらも、着実に実績を作り、私の発言の重みも少しだけついてきました。
私たちを応援してくれる人も陽に影におられます。

すんなりと事は進まないでしょう。
大胆かつ慎重に事を進める予定です。
挑戦は、私的な営利目的ではなく、かつ全てボランティアであるというのが、我々の最大の強みです。
具体的な行動はまだもう少し先になりますが、有志とともに挑戦してみようと思います。

日頃の本業は絶対におろそかにしませんので、ご安心下さいね。


またまた日野原先生のお言葉です。
【あなたの寿命の中で、あなた以外の人のために使った時間は何時間ですか。ということを銘々がチェックすべきだ】
 

2019-11-04 20:08:07

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投げキス

10月から土曜日を休みにしましたが、午前中3人の訪問を行いました。
そのうちのお一人は、80代のがんのお爺さんです。
超難聴で、耳の横でメガホンで話してもほとんど聞こえていません。
几帳面な性格の方で、7~8種類の内服薬を全て自分で管理していて、1錠も欠けることなくキッチリ飲んでいます。
万事こんな感じなので、家族の言うことは聞かない方です。

今日訪問すると、家族からどうしても一つだけ本人に言い聞かせて欲しいことがあるので、先生から言って欲しいと言われました。
その旨を筆談とジャスチャーを交えて本人に伝えると、OKサインと共に、何故か投げキスをされました。
すぐに僕も投げキスを返すと、ニッコリと微笑んでくれました。
奥様は本人がそんな事をしたのは55年間1度も見たことがなかったようで、とてもビックリされていました。

人生初の投げキスを、80代のお爺さんから頂戴した1日となりました。
同時に55年間付き合っている妻でも見たことない本人の一面を、(偶然ですが)引き出せた経験をさせて頂きました。



今日は早朝にがん患者さんのお看取りも1件ありました。
60日余りのお付き合いでしたが、気遣いの人でいくつもの学びがありました。
帰り際の決まり文句は、「先生また来てよ、それが私の希望でもあるからね」

日野原先生のお言葉です。
【ガンの末期状態にあっても、明日という日に何かの望みがあれば人間は生きられるのです】

Kさん、ご冥福をお祈りするとともに、ありがとうございました。

 

2019-10-26 23:05:13

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近況

少し間隔があいてしまいましたが、毎日変わらず訪問診療をしています。
今週末は学会発表もするので、その準備にも追われています。
東日本は台風災害で大変なのに、自分の仕事に専念出来ることは本当に有難いことです。

最近は関わり方が難しいケースが続いています。
①初回訪問からお看取りまで10日以内が4人
②10代のお看取りが1人
③がんの症状がとてもキツイのに、経済的な理由で必要な医療が受けられないケース
④前の主治医に放置され、私が初回訪問したら即入院となったケース

①精一杯の対応を行っているつもりですが、お看取りまで日が短いと十分な関わりが出来たかどうか自信が持てないことも多いです。
②若い方の在宅医療の経験値が少ないので特に全力を尽くしますが、振り返ってみると反省材料はあります。
③各種公的制度も利用できない制度の隙間にいる人に、どうやって医療を届けるのか考えさせられました。
④色々思うことは多いですが、まずは自分の役割を果たすことが先だと考え対応しています。

ただ全てに共通するのは、難しいケースを担当すると大変だけど自分の経験値が上がるということです。
自分の知らない事や力不足を痛感し、そしてその改善のために何をすべきかを教えて頂ける機会が得られます。

私はまだまだ未熟な在宅医ですが、愚直に自分の役割に向き合いたいです。


と書きながら申し訳ないのですが、最近は新規受け入れが全く出来ていません。
今日も2か所から依頼の相談を頂いたのですが、お受けできませんでした。
そして来週も予約はほぼ埋まっています・・・。
在宅医療の質を落としてまで枠を増やすことはしませんし、現在担当している方が最優先なので、どうかどうかご理解くださいませ。

 

2019-10-17 00:38:55

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【告知】人生会議とは

人生会議という堅い言葉をご存知ですか?
一言で言うと、「自分にもしものことがあった場合に、治療やケアのことを家族や関係者と話し合って相談しましょうね」というものです。
非常に大事なことですが、普通に生活しているとそこまで考える人は少ないですよね。

私は在宅医療を提供しているので、今後の方針を話し合った方がいい人には人生会議を勧めます。
(人生会議という言葉はあまり使いませんが)
スッと話しが進むケースもあれば、「縁起でもない」とか「悪くなったその時に考える」と言って取り合ってくれないこともあります。

様々なケースがありますが、まだまだ慣れ親しまれていないのが現状です。
そんな人生会議を知るキッカケとなるイベントがあります。




40代の在宅看取りをしたケースのご紹介とカードゲームを使った模擬人生会議を行います。
堅苦しいイベントではありませんので、お気軽にご参加頂ければと思います。
 

2019-10-02 13:17:03

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【告知】休診日を変更します

来月より休診日を変更します。

●現在
木曜日 午後休診
土曜日 午後休診

●2019年10月より
木曜日 9時~18時 診療します
土曜日 全日休診

つまり、下記のとおりです。
月~金、9時~18時 診療
土・日・祝 休診

開業医の慣例に倣って、木曜日午後を休診にしていましたが、休診中に外部からの連絡が結構ありまして、
ご迷惑をお掛けすることがありました。
反面、土曜日は連絡がほぼ皆無なので、スタッフとも相談の結果変更することとなりました。

ほとんどの人にはあまり関係ないとは思いますが、一応告知しておきますね。


本日より新患受け入れを一時的にストップしています。
現在、新患さんが集中しており、きっちりと初期対応をするためです。
再開予定は10月8日以降になると思います、申し訳ございません。

 

2019-09-27 22:08:47

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私は燃え尽きないのか?

24時間対応を独りでしていることを人に言うと、皆様必ず心配してくれます。

①「寝てますか?」
②「自分の時間がないのでは?」
③「旅行に行けるのですか?」
④「どうして複数の医師と協力しないのですか?」
⑤「燃え尽きないで下さい」

確かに不便だし、常に携帯を手放せません。
遊びに行くにも遠方には行けず、常に緊急で戻ることを想定した上で遊びに行きます。
北は梅田・東はかつらぎ・南は印南までですね。
普通の感覚だとこんな生活は異常だと思います。
しかし、質の高い在宅医療を提供するためには、この自分で決めたルールは必須です。

①22時~6時の往診は月に2回程度なので、ほとんどの日は6時間寝ています。
②診療時間内でも予約がなければ暇ですし、自分の時間が持てるように受け持ち患者数を制限しています。
 なので、工夫をすれば自分の時間は作れます。
③今は旅行に行けないですが、開業前にめちゃめちゃ行きました。
④在宅医療は儲かるからという医師とは組む気はありません。本気で在宅医療をしたい医師と近い将来組む予定はあります。
 そうなればまた旅行も行きたいですね。
⑤こんな感じなので、今のところ燃え尽きる予定はありません^^。
 そうは言ってもここまでのストイックをずっと続けるのは正直キツイので、62歳でこの仕事は辞めます。

自分の在宅医引退まで「僅か17年」しかありません。
今すべき事、数年後にすべき事、引退までずっとすべき事をしっかりと考えて、日々行動しています。
日常的に看取りをしているからでしょうね、こんな考え方をしているのは・・・。



 

鎮静は非常に難しいテーマです。
緩和ケア医の世界でも、実に多くの意見があります。
全国学会などでは、鎮静賛成派と反対派の間で喧嘩のような激しい議論が交わされることも多いです。
ちなみに私どもの鎮静率は、がん患者さんで5%(78人中4人)・非がん患者さん0%(20人中0人)です。

この本は鎮静不要の立場のベテラン在宅医が書かれました。
在宅医療に関わる医師、訪問看護師には必読の1冊です。
関係者の方は、是非お読み下さいね。
 

2019-09-23 23:20:29

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「〇心」も提供しています

一気に涼しくなりましたね。
今週になって体調を壊しているご本人や家族さんがチラホラいます。
皆さん、お気を付け下さいね。

私の訪問診療は、「〇心」も一緒にお届けしています。
・困ったらいつでも、24時間電話していいですよ
・必要があれば、必ず往診します。
・相談だけでも電話してもいいですよ。
・不安を聞いてほしいだけでもいいですよ。

街のクリニックの院長先生に、こんな対応はないですよね、普通。

ほとんどの方は、在宅医療が初めての経験です。
さらに私が担当する方は、残された時間が短い方が多いです。
「自宅で最期を迎えたいから宜しく」とはっきりおっしゃる方もおられますが、大抵のケースは不安や悩みだらけの状態で在宅医療を開始します。
訪問時や電話の際に、相手の納得が得られることを常に心掛けています。

今日も訪問開始3回目の訪問の方のご家族と、1時間近く話し込みました。
雑談も混じっていましたが、とても大事な内容もありました。
そしてご家族は、自宅で看取る覚悟が固まった様子でした。

「いつでも先生や看護師さんと連絡取れるので、〇心しました。」

〇が何かは、もうお分かりですよね。



(ご家族の許可を得て公開しています)

Kちゃんですが、先日在宅医療がスタートして1年を超えました。
彼女なりのペースですが、成長しています。
視線の動きに、何らかの意思が込められているような気がする時が増えています。

疲れ切った時に訪問する際は、本当に癒されています。
いつもありがとうございます、Kちゃん。
 

2019-09-20 23:00:12

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