たぶせ在宅クリニック

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追悼 Kさん

追悼 Kさん

酷暑が続きますね。
当たり前ですが、人間も車も燃費が最も悪い季節です。
新型コロナも重なり、辛い夏ですね。

今回は自宅で最期を迎えられたKさんのお話しです。
かなり高齢の男性のがん患者さんですが、認知症は全くなく私に依頼がある直前までご自分の会社に行かれていました。
しかし病気の進行により外出が難しくなり、訪問診療の開始となりました。

実はKさんの自宅は私の訪問エリアの外側でした。
しかしKさんは、私が以前修行していた静岡がんセンターとご縁がある方でしたので、即答でお引き受けしました。


詳しくは書けませんが、Kさんは不屈の精神をお持ちの方でした。
幼少の頃からのハンデをものともせず、大変な努力の結果仕事も趣味も成功を収められました。

初回訪問の時、少し言葉を交わしただけで、Kさんから「これからよろしく頼みます」と。
「頼みます」には、最期まで先生に全てを任したという意味が込められていました。

初回訪問時は症状的にはまだ重症ではありませんでしたが、1週間後にイレウス(腸閉塞)となりほとんど食べられなくなりました。
死期を悟ったKさんは、「今日から毎日来て欲しい」と希望されました。

それからの18日間は、不屈のKさんを実感する日々でした。
とても苦しい状態でも私の訪問を心待ちにされ、人生の様々なことをお話しになりました。
その1つ1つがまだ40代の私には勉強になることばかりでした。

ご家族も大変熱心に看病をなさり、本人の希望通り過ごすことが出来ました。
亡くなる日も、遠方の子供さんが駆け付けるのを待ってから、静かに旅立たれました。


お別れしてから約1か月後、ご自宅へ弔問に伺いました。
奥様から様々なお話しをして頂きましたが、その中で今の私に足りない部分も指摘して頂きました。
それは人間としての深み=年齢的な事なので、若い私にはすぐに修正は出来ませんがお言葉を忘れずに日々励みたいと思います。

奥様は私が提供した訪問診療の中での隠し味について、「その時はどうしてこんな事を言うのかなと思ったけど、亡くなって振り返ってからその言葉を言ったタイミングと意味に気付きました」と話され、お褒めの言葉も頂戴しました。
流石Kさんの奥様、私が密かに心掛けていることも的確に指摘されたので、私は笑いながら頭を下げるのみです。

Kさんを担当させて頂き、人生には何が大事か改めて再認識させて頂きました。
私にとって貴重な学びの多い18日間となり、感謝しかありません。
Kさん、ご冥福を改めてお祈り致します。




次回は、Kさんのお陰でつながったご縁について書きたいと思います。

2020-08-16 23:10:43

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