たぶせ在宅クリニック 和歌山市の訪問診療

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院長コラムhead doctor’s blog

ビデオレターが起こした奇跡26.8.14

在宅医療

令和になって既に約8年も経過しています。
しかし、和歌山市内の各所に昭和のままのエリアが未だに存在します。

患者さんは80代後半の女性(Nさん)、肺癌の末期状態でした。
昭和のままの長屋に住んでおられ、隣近所は皆家族のような付き合いです。
波乱万丈の人生を過ごしてきたNさんは、話術もお得意でかつ毒舌でした。
私はNさんに何度バッサリと斬られたか数え切れません。

毎日Nさんの部屋には、ご家族さん、お隣さん、友人など多くの人が出入りされていて、
ある時に10数人集まった日もあり、「長屋の床が落ちますね」と全員で大爆笑しました。

そんなNさんも病状が進行して、呼吸苦の悪化とともに会話が難しくなってきました。
もう長くないだろうと考え、「Nさん、思い残していることはありませんか?」と伺うと、
「20年以上お世話になった○○先生にお礼を言いたい」とおっしゃりました。
とっさにスマホを取り出して動画撮影を開始すると、Nさんは○○先生へ感謝の言葉を述べられました。
○○先生はたまたま私が面識のある先生だったので、訪問後に撮影した動画をお届けしました。

その3日後にNさんを再び訪問して、○○先生に動画をお渡ししたことを報告していると、玄関から「こんにちわ」と声がします。
いつものお隣さんが来られたのかと思って振り返ると、そこには○○先生の姿が。

これには流石の私もビックリしました。
○○先生は大病院の幹部先生で、私など比較にならない多忙なドクターです。
そのドクターが平日の昼間に患者宅にお越しになるなど、私の知る範囲考えられないことです。

Nさんは久しぶりの再会に泣きながらも、必死に感謝の言葉を先生に伝えていました。
そして10分ほど再会の終わりに今生のお別れをなさり、先生は病院へお戻りになりました。

その後のNさんは、「もう思い残すことは何もない。(田伏)先生、最期までよろしく」とだけおっしゃって、お迎えが来るまで大勢の方々とお過ごしになりました。

在宅医療は何でもありの世界なので、何があるか分からないのが奥深いです。
何やら訳ありのクセの強そうな新規依頼や相談が最近続いています。
今後もきっと悲喜こもごもがあることでしょう。