院長コラムhead doctor’s blog
在宅医の葛藤20.7.12
水害は本当に怖いですね。
2018年10月の台風では、和歌山市内でも停電や断水で困りました。
皆さんは災害への備えをされていますか?
さて、今回は在宅医の葛藤のお話しです。
在宅医療では、「医学的判断」<「本人/家族の強い希望」な場合が往々にしてあります。
例えば、終末期で両足やお腹に水が溜まっている場合、点滴はしない方が良いことが多いです。
何故点滴をしない方が良いかを説明すれば、ほとんどの方は納得されます。
しかし時に「点滴をして欲しい」の一点張りの方もいます。
医師の説明に反して強く希望されるにはそれぞれに理由があるので、必ず確認します。
その理由に私たちが納得できる場合はまだいいのですが、全く納得できない場合もあります。
ここでいつも悩みます。
①医師として患者に害になることは出来ないと断る
②説明を尽くしてもなお希望するのだから、本人/家族の言う通りすれば良い
①を選ぶと、患者/家族に寄り添っていないと批判されたり、病院へ入院したりします。
②を選ぶと、患者/家族は何も言いませんが、我々在宅スタッフは非常に複雑な心境です。何故なら患者に害になることを日々行うことは非常なストレスがあるからです。我々は一体何のために訪問しているのか分からなくなります。
以前のケースで②を選択し、本人がお亡くなりになってから家族さんに希望通りしてくれてありがとうと言われました。
家族さんから見れば我々は寄り添ったことになっていますが、私の気持ちは・・・。
私の考えが全て正しい訳でないのは、普段から忘れないようにしています。
家族が感謝しているのだからいいじゃないかという意見もあります。
こういうケースを担当するといつも思うのが、本人/家族に寄り添うのは簡単ではないということです。
きっと、苦しみ抜いた先に答えがあるような気がします。
まだまだ私に在宅医としての経験が足らないということなんだろうなと思っています。
2~6月に予定されていて延期になっていた講演が、次々と今秋に予定されています。
来年の新しい動きも徐々に進みつつあります。
関係する皆様、どうぞよろしくお願いします。